韓国、モンゴルと対戦した日本代表戦。招集されたメンバーには、8人の初代表選手が含まれていた。何名か海外組を招集できなかったための現象とはいえ、Jリーグに代表級の選手が増えていることも事実である。チャンピオンズリーグの決勝トーナメントで活躍できそうな、特A級の選手こそ育っていないが、日本代表でプレーできそうな選手の絶対数は増加している。日本人選手の水準は相対的に上がっている。
稲垣祥(名古屋グランパス)、江坂任(柏レイソル)、山根視来(川崎フロンターレ)は、それぞれ29歳、28歳、27歳だ。前述した8人の中で遅咲きの部類に入る。稲垣は日体大、江坂は流経大、山根は桐蔭横浜大出身の大卒選手。遅咲きの理由は、プロ選手になる年齢が遅かったことと大きな関係がある。大卒選手は増加の一途をたどっている。年齢がいってから代表入りする遅咲き選手は、これからも増えるだろう。
先の代表戦では原川力(セレッソ大阪)にも声が掛かっていた。現在27歳。大卒ではないので、その招集にはより遅咲き感を漂わせたが、不運にも合流直前に負傷。参加は見送られた。
原川は昨季までサガン鳥栖で4シーズンプレーし、今季C大阪に迎えられたMFである。鳥栖(昨季13位)からC大阪(昨季4位)への移籍は、いわば栄転だ。しかし、今季の成績に目を向ければ、鳥栖は3位で、C大阪は5位(4月28日現在)。現状での関係は逆転している。
さらに言うならば、五輪代表候補の原輝綺、森下龍矢もシーズン前、それぞれ清水エスパルス、名古屋へ引き抜かれていった。開幕前、鳥栖が降格候補に挙げられるのは、当然といえば当然だった。
鳥栖が4月24日に対戦したのはFC東京。本来なら格上に当たる相手だ。ところが両者の関係は、その前の節が終了した段階で、3位(鳥栖)対8位(FC東京)。ひっくり返った状態にあった。
そして、味の素スタジアムで行なわれたこのアウェー戦でも、鳥栖は1-2で勝利を収めたのだった。
前半の立ち上がりこそFC東京ペースで推移したが、ほどなくすると、サッカーの質の差がピッチに反映されることになった。FC東京はプレッシングが緩いので、ボールを高い位置で奪い返すことができない。1回攻めたら、1回攻め返されるサッカーだ。相手のプレスが厳しければ、連続して攻められることになる。鳥栖はそうしたFC東京の弱点を突いた。