大相撲夏場所8日目は16日、両国国技館で行われ、幕内最年少の豊昇龍が大関朝乃山を内掛けで破った。豊昇龍は大関戦初白星を挙げた。 ◇ 幕内最年少21歳の豊昇龍が初めて大関を倒した。鮮やかな内掛けで朝乃山を沈め、「集中して自分の相撲を取れたので良かった。体がいい感じに動いてくれた」。叔父は優勝25度の元横綱朝青龍。気持ちの強さも取り口も、にこっと笑った顔までそっくりだ。 突き刺すような立ち合いが見事だった。40キロ以上重い朝乃山の上体を起こし、浅い左上手、深い右下手で前に圧力をかけながら、右の内掛け。大関を土俵にあおむけにした。 スピード感あふれる取り口は叔父譲り。この日のような鋭い立ち合いも朝青龍の映像を見て勉強してきた。たまに連絡があれば、「立ち合いが甘い」と叱咤(しった)されるという。「まねはできないな」と話していたが、この日の一番で成長の跡を示した。 千葉・日体大柏高にレスリング選手としてモンゴルから留学。在学中に大相撲を観戦し、魅力を感じて転向を決めた。平成30年初場所で初土俵を踏み、今場所は自己最高位の前頭5枚目。照ノ富士や貴景勝にはね返され3勝止まりだが、目指す三役に向けて内容の濃い日々を送っている。 師匠の立浪親方(元小結旭豊)は「常に叔父さんの影を追っている。お客さんを沸かせるような相撲をとってほしい」と期待する。元横綱に良い報告ができるのでは-と聞かれた豊昇龍は、「そうですね。立ち合いのことを教えてもらいたい」とどこまでも貪欲だった。(浜田慎太郎)