
人生は旅である。留まることなく、行ったり来たりを繰り返していく。つまり、人生と旅は同じであり、全てに通ずる。2007年から香川県高松市で旅をテーマにしたセレクトショップを営むエリさんは、このような思いから店名を「漂泊」と書いて「ハク」と名付けました。 【写真】エリさんが選んだ、量産性でない心惹かれたモノたち
「人と旅とモノ」をつなげる
漂泊には、エリさんの心に響いた国内の作家の1点モノや、海外で見つけた個性的な作品が置いてあります。香川に居ながらも旅をしているような、訪れる人にとっても新しい出会いを感じてもらえるような商品が並びます。 旅をテーマにすることで、もともと好きだった旅に出ることができ、エリさんが心惹かれるモノを見つけて持ち帰り、それを客に見つけてもらうことができる。漂泊は、「人と旅とモノ」をつなげる空間なのです。
エリさんにとっての「旅」
今までやったことのない、触れたことのない未知の世界に飛び込むことが好きなエリさんは、大学生の時に初めてヨーロッパを訪れました。その後も、エジプト、ジャマイカ、アメリカ、タイ、モンゴルなど数々の国を訪れます。 皆さんにとって旅とはどのようなものでしょうか。エリさんにとっての旅とは、エリさんが抱く不思議で、神秘的な疑問を確かめに行くことだと話します。人が持つ優しさや思いやりの感情は、世界共通であることを、自分の目で見たり、体験したりすることで確かめたかったのです。それに触れることで、安堵感を得て、またその先に向かうことができる。つまり、「人とのつながり」がエリさんの大きなテーマになっています。 それは、漂泊という場所においても同じです。エリさんは、商品を売って終わりにはしません。「あの子元気にしてる?」と、ユーモアを含ませながら、客に尋ねます。また、客からも「今、ここに置いてるよ」と写真を撮って、嬉しそうに見せてくれることもあるそうです。今度は、その写真を作家に「今、こんな風になっているよ」と見せると、作家も喜んでくれる。「最後の最後まで仕舞をつけたい」とエリさんは話します。 モノを売った、で終わりにはせず、たまに訪れた人と、その人のもとに渡ったモノを思い出す。エリさんと漂泊は、漂泊を訪れる人と点ではなく、線でつながっています。 「お客さんは『漂泊があってくれてありがとう』と言ってくれるけれど、訪れてくれるお客さんがいるから、漂泊がある」と話すエリさんからは、漂泊に携わる全ての人への愛を感じます。