モンゴル総選挙、与党が政権を維持(モンゴル) | ビジネス短信 – ジェトロ(日本貿易振興機構)

モンゴルの第8回国家大会議(国会)選挙(定数76)が6月24日に実施・即日開票され、与党・人民党が改選前と同じ62議席を獲得して大勝した。野党・民主党(改選前9議席)は11議席、私たち連合(注1)、正しい人連合(注2)、無所属がそれぞれ1議席を獲得した。モンゴルでは民主化後、選挙のたび頻繁に政権交代が行われてきたが、今回初めて与党が政権を維持した。

人民党の勝因は、1月末に選挙区および議席数を決める際、変則的中選挙区制(注3)を導入(人民党の支持基盤が強い地方には議席を多く配分し、都市部には議席を少なく配分した)したことと、野党の票が割れたことである。選挙運動期間中および投票日には、新型コロナウイルスの感染対策として、マスクと手袋の着用、支持者と1.5メートル以上間隔を空け、握手などの身体的接触をしないこと、密集を避けるなどの対策が取られた。

6月30日にはバトトルガ大統領が特別国会を招集し、国会議長に人民党のザンダンシャタル議長が再選された。7月2日には国会でフレルスフ首相が再任された。フレルスフ首相は就任演説において、(1)輸入代替・輸出促進、(2)公正な社会と電子政府、(3)国民生活の質の向上と中間所得層の拡大、(4)都市と地方の格差是正という4つの目標を掲げ、今後、新内閣の組閣に取り組む(注4)。

航空便運航停止と外国人入国一時停止を7月15日まで延長

6月30日に国家非常事態委員会が開催され、同委員会は「高度警戒準備態勢」を7月15日まで延長することを決定した。モンゴル発着の全航空便の運航停止措置とモンゴルへの外国人の入国一時停止も7月15日まで延長される。

「高度警戒準備態勢」の中、一部では感染対策をとった上で営業再開を許可する動きも見られる。6月22日からは図書館、博物館の営業再開が既に許可されている。7月1日からは検査に合格した映画館、青少年野外活動センター、小規模カラオケなどの営業再開が順次許可されている。

また、7月11日から3日間開催される「ナーダム」(注5)について、政府は新型コロナウイルス感染対策のため、例年のスタジアムではなく、郊外において無観客で開催し、テレビやインターネットで中継することを決定した。

7月7日午前11時点で、モンゴルにおける新型コロナウイルスの感染者数は225人(治療中31人、回復194人、死者なし)で、市中感染は発生していない。

(注1)モンゴル人民革命党、国民の勇気緑の党、モンゴル伝統統一党による連合会派。

(注2)労働民族党、モンゴル社会民主党、正義党による連合会派。

(注3)全国を29の選挙区に分け、各選挙区に2~3人の議席を配分する方式。有権者は2人区では2人、3人区では3人を選んで投票する。

(注4)5月25日から施行されている改正憲法により、今回から閣僚を兼務できる議員の数が首相の他4人以下に制限されている。

(注5)モンゴル相撲、競馬、弓射が行われる国民的な祭典。

(藤井一範)