
柔道・グランドスラム・タシケント大会第1日(5日、ウズベキスタン)世界選手権とマスターズに次ぐ格付けの大会。開幕し、男女計5階級が行われ、東京五輪女子52キロ級代表で金メダル有力候補の阿部詩(うた、20)=日体大=が決勝でルハグバスレン・ソソルバラム(19)=モンゴル=に不戦勝。1年1カ月ぶりの実戦で優勝した。五輪代表補欠で男子60キロ級の永山竜樹(24)、女子57キロ級の玉置桃(26)=三井住友海上=も優勝した。
畳上で闘える喜びをかみしめた。3試合をオール一本勝ちして迎えた決勝は不戦勝。世界選手権2連覇中の阿部が、1年1カ月ぶりの実戦で優勝し、4カ月後の東京五輪へ弾みをつけた。
「緊張感の中でどういう動きができるか試す」をテーマに掲げた今大会。初戦の2回戦はモンゴル選手に指導3による一本勝ちした。韓国選手との準々決勝は組み際から入り込んでの小外刈り。準決勝はブラジル選手を関節技で仕留めて決勝に進んだ。決勝は2019年世界ジュニア女王、ソソルバラムが棄権して不戦勝だった。最後は不完全燃焼に終わったが、昨年2月21日以来(GSデュッセルドルフ大会優勝)以来、378日ぶりの実戦で頂点に立った。
コロナ禍で、自分の体と向き合うことに目を向けた。以前は、がむしゃらに取り組むあまり「(右肩など)体を壊すことが多かった」。道場では低い背負い投げなど新技研究に励んだ。昨年7月に二十歳になり、「自分の足で自分の道を歩いていく」。大人の自覚が、コロナの影響で試合のない日々でも世界女王を進化させた。
東京五輪男子66キロ級代表で兄の一二三(ひふみ、23)=パーク24=と一緒に汗を流す中で、栄養面にも気を使っていることを感じた。「超一流の選手といわれるには大事なこと」と食事にも注力した。ヨガも取り入れ、体内から磨きをかけた。万全の状態で今大会に挑み、GS通算5勝目を手にした。
「あっという間に五輪が来ると思う。五輪まで駆け抜ける」。男子66キロ級の兄・一二三とともに大会3日目の7月25日に聖地・日本武道館に立つ。きょうだい金メダルへラストスパートに入る。