肩書は民族音楽学者、作家、そしてシャーマン。意識の限界を広げるこの古来の技術に秘められた治療効果について、研究者や医者と連携し探求を続けるフランス人女性、コリンヌ・ソンブランが、ジャーナリストのエリザベート・カンとともに私たちを直感の世界に導いていく。 トランス状態と同じ効果を体験できる? 東京で瞑想を体験できるおすすめスポット! 2001年は人間の進化にとって記念すべき年となるのだろうか? ちょうど20年前のこの年、徹底的に構造化された思考回路を持つ、あるヨーロッパ女性が、シャーマンの儀式でトランス状態を体験した。 その後、彼女は長いイニシエーションの旅に出る。トランスは認知現象であり、科学や治療に応用すれば無限の可能性が広がると確信するコリンヌ・ソンブラン(1)は、現在、世界中の研究者と連携して実証を進めている。 命あるものと新しい関係を結ぶために、土着のアニミズム的世界観は多くの示唆を与えるだろうと彼女は言う。自分自身の経験を語った著書『喜びの対角線』の出版を機に、インタビューを行なった。
●40歳で音楽家からシャーマンに
ーー自分にシャーマンの力があることをどうやって発見したのですか? 2001年、シャーマンの儀式を録音するために、モンゴルのシベリア国境付近に行きました。民族音楽学者としてBBCワールドの番組作りに携わっていたのです。当時シャーマンは外国人に対して不信感を抱いていました。ソ連の崩壊後に迫害され、儀式が禁止された時期があったからです。数日かけてシャーマンのバルジルを説得し、儀式に参加することになりました。 でも儀式が始まり、太鼓の音を聞いたとたん、震えが走り、その場で飛び上がって、私は自分の身体を叩いていました。大声で叫んだり、狼のような唸り声を上げて。自分の口元が前に突き出しているように感じました。シャーマンに体当たりして格闘しました。彼が持っている太鼓を奪いたかったのです。普段の10倍もの力が出ました。バルジルが2時間かけて私を正気に戻してくれました…。それから、彼は、精霊が私をシャーマンに選んだと告げたのです。 ーーその時はどう反応しましたか? あなたは40歳で、ロンドン在住のキャリアを積んだ音楽家でした…。 衝撃は相当大きかった。恥ずかしさもありました。私にとってこの出来事はコントロールの喪失に相当するものでした。当時私は死や不可視のものに対して恐怖を抱いていた。でも、精霊つまりongodに従わなければ、私の精神生活は地獄のようなものになると説明されました。調和が絶たれて、buzarすなわち不調和に支配されると。 ーーシャーマニズムのイニシエーションを受けるために数年間を捧げると決心したのはどんな動機からでしょうか? もしかしたら、心の底から愛し、5年間耐え難い苦痛と闘った後に私の腕のなかで息を引き取ったあの人が、扉の向こうで待っているかもしれない。いつかその扉を開け、その人に会えるかもしれない…と思ったのです。