五輪事前合宿どうする 茨城県は3市町中止、14市町受け入れ 担当者にワクチン優先接種も – 東京新聞

五輪事前合宿どうする 茨城県は3市町中止、14市町受け入れ 担当者にワクチン優先接種も  東京新聞…

2019年にパラオのレスリング選手が合宿をした常陸大宮市の体育館

 東京五輪の開幕まで1カ月半。海外チームの最終調整の場になる事前合宿を巡り、茨城県内の3市町が新型コロナウイルスの影響で、受け入れの中止を明らかにした。受け入れ準備をする14市町でも、宿泊施設の関係者らを優先でワクチン接種したり、住民との交流方法を模索したりするなど対応に頭を悩ませている。 (保坂千裕)

 県内では当初、競技会場が集中する都心とのアクセスの良さや、競技施設の充実をPRし、十七市町で海外の選手団の受け入れが決まっていた。

 だが、新型コロナウイルスが収束せず、四日時点で常陸大宮、桜川、城里の三市町が受け入れを中止することになっている。残りの十四自治体でも、複数の国や競技を受け入れる予定だったのが、一部でキャンセルが出たケースもあった。

 パラオから陸上と水泳の選手団の事前合宿を受け入れる予定だった常陸大宮市は三日、パラオからの要請で中止を発表した。

 市は二〇一七年四月に事前合宿の合意書を締結。一八年と一九年に柔道や陸上などの合宿を受け入れノウハウを得てきた。パラオの州職員五人を研修生として市役所で働いてもらい、市内の学校訪問などで文化交流も進めていた。

 市の担当者は「受け入れるつもりだった。国から交流方法の再考を求められ、方法を考えていたところだった。残念だ」と話した。今後もオンライン交流などは継続していくという。

 ほかにも、城里町で予定されていたモンゴルの空手が中止となった。町の担当者が意向を調査した四月下旬は、モンゴルが感染拡大でロックダウン(都市封鎖)をしていたことも影響したとみられる。桜川市のモンゴルの射撃チームも中止の意向が伝えられ、正式な通知を待っている。

 一方、二カ国のボートなどの合宿が予定され、さらに二カ国とも調整している潮来市。高齢者へのワクチン接種が七月末までに完了のめどが立ったとして、合宿を調整する担当者への接種も並行して進めると発表した。

 対象者は、ボートの用具管理などをする県ボート協会の役員や、選手が宿泊する施設の従業員、担当の市職員ら約九十人。うち六十五人程度が六十五歳未満。宿泊施設からの要望を受けて「優先接種」を決めた。

 龍ケ崎市は、予定する四カ国のチームに最終的な意向を確認中だ。担当者は「受け入れるにしてもタイムリミットがある。コロナ対策もしなければならず、市から中止を打診する可能性もある」と話す。

 税金を使い、合宿を受け入れる自治体にとっては、住民と海外選手の交流が一つの目的だったが、新型コロナで困難になっている。来日第一号の女子ソフトボール豪州代表を受け入れた群馬県太田市では、練習試合には観客を入れるが、対面での交流は取りやめる方針を明らかにしている。

 受け入れる県内の自治体からは「練習の様子を体育館の二階から見学することを検討している」(水戸市)や「大会後に選手の五輪体験談を聞くというのは、できるかもしれない」(龍ケ崎市)などの声があり、交流の方法を模索する。

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