■Jトラスト8508>の業績動向
(2) 韓国及びモンゴル金融事業
韓国及びモンゴル金融事業では、2020年12月期にJT親愛貯蓄銀行を売却し、現在は銀行業のJT貯蓄銀行、リース業のJTキャピタル、サービサー(債権回収)事業のTA資産管理(以下、TAアセット)を保有する。また、2018年5月にはモンゴルのファイナンス会社(現JトラストクレジットNBFI)を子会社化している。JTキャピタルについては、2021年12月期第2四半期に売却予定である。一方、JT貯蓄銀行については、前期に株式譲渡契約を締結したことにより非継続事業に分類していたが、韓国金融委員会の承認取得に時間がかかっているため、いったん分類を継続事業に戻している。ただ、正式に当局の承認が得られた段階で、改めて非継続事業に分類する予定だ。
以上から、2021年12月期第1四半期はJT貯蓄銀行の貸出残高の増加などを受けて、営業収益は4,636百万円(前年同期比6.2%増)、営業利益は1,179百万円(同55.4%増)となった。また、通期計画に対する第1四半期進捗率は、営業収益34%、営業利益44%に達する順調な決算であった。
JT貯蓄銀行の貸出は消費者以外有担保と消費者無担保が好調で、前年同期比で増加傾向にあり、NPL比率も2.56%の低水準を維持している。同社グループでは、金融当局の承認が下り次第、締結した契約通りの有利な条件で売却する予定である。一方、JTキャピタルの貸付資産は減少傾向をたどっている。韓国では金融当局により段階的に貸出上限金利引き下げが行われており、2016年3月以前の34.9%から現在は24.0%になり、2021年7月7日からは20%に下がる見通しだ。これらのことから同社グループにとってJTキャピタルの売却は好機であったと言えよう。
売却済みのJT親愛貯蓄銀行と、売却予定のJT貯蓄銀行は、これまで韓国及びモンゴル金融事業の収益を下支えしてきた。しかし、同社グループでは事業ポートフォリオ再編に伴い、この2行の売却を決定したことで、韓国及びモンゴル金融事業の収益貢献は大きく低下する見通しだ。ただ、同社グループとしては、貯蓄銀行2行の企業価値を最大化した有利な状態で売却することで、手元流動性の確保と財務健全性のさらなる強靭化を実現し、今後の新たな事業展開に活用する計画である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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