1日1食がやっと… コロナ下の外国人留学生が直面する貧困 – 琉球新報

1日1食がやっと… コロナ下の外国人留学生が直面する貧困  琉球新報…

モンゴルの両親と連絡を取り合うスマートフォンを手にする男性=東京都内で2021年6月7日、関谷俊介撮影

 「1日1食しか食べていない」。モンゴルから来日して都内で暮らす大学4年の男性(21)は新型コロナウイルス下にコンビニエンスストアと100円ショップのアルバイトの職を失い、所持金がなく貧困に直面している。家賃を1カ月分滞納すると、家賃保証会社から電話が連日かかってくるようになり、「せっかく日本に来たのに残念でしようがない」とうなだれる。

 男性は小学生の頃に父親の仕事の都合で日本に3年間住んだことから日本での暮らしに憧れて日本語を勉強。日本語能力試験の「N2」を通過して3年前に来日し、大学で経営学を学ぶ。2年生の時には最もレベルの高い「N1」に合格し、滑らかな日本語を操る。

 留学生に認められるアルバイトは法令で週28時間以内と定められている。男性は入学時から主にコンビニ店員として働き、月に8万円ほど稼いで、その中から家賃と光熱費、通信費、食費を工面してきた。年80万円ほどの授業料は親が借金をして捻出してくれているので仕送りは見込めない。

 そのぎりぎりの生活を新型コロナが襲った。昨春の緊急事態宣言中、アルバイト先のコンビニがオフィスビルに入っていたことから客が激減。週4回のシフトは週1回に減った。このままでは生活できないと辞めざるを得なくなった。

 その後、100円ショップで働いたものの一日中立ち通しのレジ打ちの時間が日本人店員に比べて圧倒的に長く、店長に改善を求めても認めてもらえなかった。耐えきれず今年3月中旬に辞めたが、他のアルバイトに応募しても「コロナで人件費を削減しているから」と言っていくつも断られ、次の働き口が見つからなかった。

 4月には月末が期限の翌月分の家賃を振り込めなくなった。期限までに払えなかったのは初めてだったが、家賃保証会社から「いつまでに払えるのか」「○日までに払えなかったら契約を解除する」という催促の電話が毎日かかってくるようになった。男性は「待ってくださいと言っても『いつ払えるのか』としか言われず、今は怖くて電話に出られないようになりました」とうつむく。

 大学は昨春からリモート授業が続き、以前から勉強とアルバイトの日々でサークルにも入っておらず、他の学生との交流はない。IT企業を志望しており、就職活動を始めようとしたが、所持金が尽きて、都内を移動するための交通費すら捻出できない。

 食事は米を炊いてレトルトのカレーをかけたり、スーパーマーケットで買った安い肉をフライパンで焼いたりして1日1食がやっと。「食費と光熱費はひとまずクレジットカードで払えています。その引き落としが迫っているけど、口座にお金はありません」と不安そうな顔を浮かべる。

 5月下旬、ようやくコンビニの仕事を見つけ、夜10時から朝7時までの夜勤を含め週3回働けるようになった。まとまった給料をもらえるのは7月10日。「親とはLINE(ライン)でメッセージのやり取りをしていますが、『大丈夫?』『元気出してね』と心配されています。就職活動できるか不安です」

 日本学生支援機構によると、2020年5月1日現在の国内の外国人留学生は前年同期比10・4%減の27万9597人。同機構が同年2、3月に1万人を対象に実施した「私費外国人留学生生活実態調査」では約7割がアルバイトをしている。

 日本語学校関係者によると、コロナの影響で外食や物流を中心に留学生がアルバイトの仕事を失うケースが多く、求人数も少ないので見つけるのが難しくなっているという。【関谷俊介】


(毎日新聞)

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